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「地表の芽」

望んで訪れる人がいたとしたならば、ここは彼の脳神経ネットワークという異なる地表に根を下ろすことになるだろう。そこは、ここと同じ姿でひっそりとたたずんでいくのだろうか、また光りを浴び活性化していくのだろうか、それとも枯れて消え失せていくのだろうか。 大木の袂、神社の片隅、橋群の下、テトラポットの隙間、建物と建物の間・・何気ない地表 とある場所に出会った時、記憶の奥底にある枯れた地表が潤わされて、身体の中の空洞が透明感溢れる光で満たされることがある。その空洞に差し込む光によって表現の芽が誕生し、養分を求めて外界へ根を伸ばす。 私は再びここを訪れ、闇の外界を照らし出す。