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「乳化」
我々の日常には様々な複製が溢れ、生命の複製さえ生産されている。 肉体を構成している細胞にしても、生の発生時には一つの細胞でしかなく、それが無数の細胞分 裂を繰り返し、DNAの信号によってその姿を変え、それぞれの役目を与えられ人となる。 複製を背負って存在する中で、実物の存在を探している。 存在を取り巻く現在は、刻々と訪れ、同時に、過ぎ去る。 記憶は現在を複製し保存する。 複製された現在は、ときたま顔を出すが実物に打ち消される。 歪みを生じた現在は、乳化を伴い再び保存される。