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「証人の影」
例えば鉢植えされた植物は、本来在るべき場所から切離され叉は生(もと)から其所を与えられない。我々人の其所は何処に在るのだろうか。 必然にして生を受ける場所とは。生きてゆく場所とは。 子宮から見た光。今も私を向かわせる光。 唯一の証人であるはずの私は、光に記憶を奪われ所在を失う。 しかし振返ると、影が其所を舐めるようにしかも滑らかに記憶していた。